迷わず「アメリカンください」とご注文いただくお客様がいらっしゃいます。その場合当店では、「コスタリカ ジュビア・デ・オロ農園」のお豆を案内させていただいております。このお豆は、酸味・苦味などのバランスがとてもよく、優しい味のコーヒーです。また淹れ方次第で、酸味や苦味の強弱やバランスを変化させることができる万能なお豆です。

当店では、このお豆を使い、さらに淹れ方を工夫することで、皆様の馴染みが深い「アメリカン」の味を踏襲しつつ、さらにナッツを思い浮かべるような高い香りや、すっきりとした後味を表現しております。

さて、このアメリカンコーヒーですが、少しうんちくを語らせてください。日本でアメリカン・コーヒーが生まれた経緯は複数説あります。1960年代アメリカの西海岸では浅煎りのコーヒーが主流で飲まれていました。当時日本では深煎りのコーヒーが主流で、浅煎りの豆がなかったため、アメリカから帰国した方向けに、使用する豆の量を少なくし、薄く抽出することで当時アメリカ西海岸にて流行っていたコーヒーを再現したという一説がございます。現在でも多くのカフェでは、「アメリカン」を薄く抽出した(又はお湯で割った)コーヒーとして提供しているようです。

確かに浅煎りの豆は苦味が少なく色も薄いので、深煎りのコーヒーを普段飲まれている方は「薄い」「もの足りない」と感じられるかもしません。また浅煎りの豆は、コーヒー本来が持つ「酸味」がとても強いという特徴があります。

私達が日々感じることで、「アメリカン」をご注文のお客様は、「お茶感覚でがぶがぶ飲みたい」「ブラックコーヒーは苦手、でもミルクや砂糖を入れず飲みたい」「よりコーヒー豆本来の味が分かる」など様々な好みがあるようです。当店では、そういったご要望に応えるために、一層「コスタリカ」の淹れ方を日々研究し、ご満足いただける一杯を目指してがんばります!

ちなみに当店の「コスタリカ」は中煎りの焙煎度合いのお豆です。「アメリカン」の本来の意味だった「浅煎り」のお豆は、当店の「パナマ ハートマン農園」に該当します。こちらは「新アメリカン・コーヒー」とでも呼ぶべきでしょうか。実際に近年、「ブルーボトル」などアメリカ西海岸のサードウェーブコーヒーが日本に上陸し、話題を呼びましたね。彼らのコーヒーの特徴の一つは、「強い酸味」が特徴である、浅煎りのお豆です!