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イルガチャフェ Tag Archive

  • モカとコーヒーの歴史の話

    「モカください」と御注文いただいた場合、「カフェ・モカですか?コーヒーの種類のモカですか?」と確認させていただいております。「モカブレンド」などで知られるコーヒー豆の種類のモカの場合、当店ではエチオピアの「イルガチャフェ」をお勧めしております。非常にややこしいこの2つの名前、本日はモカについて解説いたします!

    まず、カフェ・モカとは、ミルクがたっぷり入ったラテ系のエスプレッソドリンクにチョコレートを加えた飲み物です。コーヒー豆の種類の「モカ」にチョコレートのような風味があることから、このチョコレートラテの名前がカフェモカになったという説があります。

    そして、コーヒー種類のモカですが、好きな人と嫌いな人がはっきり分かれると、当店では日々感じています。それは、コーヒーの「酸味」が好きか嫌いかであるというところにあるようです。モカとつくコーヒー豆の多くは、香りと酸味を特徴とするものが多く、この新鮮なコーヒー本来の酸味を嗜む方が、モカのファンとなっているように思います。

    さて、このモカですが、コーヒーの種類ではありません。では、何を指すのでしょうか。

    モカは15世紀から17世紀ごろまで、コーヒーの輸出で栄えていたイエメンの港町の名前です。この頃、そこから輸出されていたイエメン産や対岸のエチオピア産のコーヒー豆はみなモカと呼ばれ、そのブランド名が今もまだ使われているのです。例えば、モカマタリ(イエメン産)やモカハラー(エチオピア産)などという銘柄を見かけることがありますよね。そしてこのモカで取引されていたコーヒーの流通は、人類が初めてコーヒーを飲みだしたころに始まります。コーヒーが最初に発見コーヒーが発見された説はいくつかありますが、その中で有力とされるのが、9世紀のエチオピアで、ヤギ使い少年のカルディ君が、ヤギがコーヒーの実を食べて興奮するのを発見したことによるというお話です。

    そして、800年くらいの間、コーヒーはイスラム世界で秘薬として親しまれてきました。コーヒーの栽培はモスクで厳重管理され、持ち出しは禁止されていましたが、あるインド人イスラム教徒がイエメンで巡礼をした際、種を密に持ち帰り、インドでの栽培が始まりました。そしてその後、オランダ人によりインドの苗木がインドネシアに渡り、更にオランダやフランス更にはカリブ海や中南米諸国へ渡り、「ティピカ種」と呼ばれる品種のコーヒー豆のルーツとなりました。(「ブルボン種」と呼ばれるコーヒー豆は違うルートで世界に広がりましたので、また別の機会にお話しいたします。)

    さて、モカの話に戻りますが、現在のモカとはエチオピアやイエメン産の「ティピカ種」の豆を指します。当店では、エチオピアの「イルガチャフェ」がそちらに該当します。コーヒー豆の多くは品種改良を重ねていますが、こちらの豆はコーヒーの原種に近いです。当店で扱う「ブルボン種」は粒も大きく形がきれいですが、原種に近いだけあって、イルガチャフェは形が様々で、グニャグニャとしたワイルドな風貌です。ですが、上品な香りや、冷めて酸味が落ち着いた後に出てくる甘みは、当店の扱っているコーヒーの中でも一番だと思います。是非当店にご来店された時は、バリスタに豆を見せてもらってください。そして、コーヒーの酸味が苦手な方も、是非一度、チャレンジしてみてください!

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